ポータブル電源の自作に知るべきこと|メリット/デメリット・安全性

FUMary
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11/12/2025

キャンプや車中泊、防災用としてポータブル電源を使う人が増えるなか、「既製品ではなくポータブル電源の自作に挑戦してみたい」と考える方も多いのではないでしょうか。

自作ポータブル電源がうまく作れれば、容量や出力、端子の配置まで自分好みにできて、既製品にはない“こだわりの一台”を目指すこともできます。

その一方で、電気を扱う以上、火災や事故のリスク、安全性の確保、さらには法規制といった「やり方の前に知っておくべきこと」も少なくありません。
この記事では、ポータブル電源の自作の基本的な考え方から、必要なパーツ、メリット・デメリット、注意したい危険性、そして代わりの選択肢となるサブバッテリーシステムまでを、順番に説明していきます。

ポータブル電源とは?自作ポータブル電源を考える前に知っておきたい基礎知識

ポータブル電源の基本構成

ポータブル電源とは、簡単に言えば「大きな充電式バッテリーにインバーターと保護回路を組み合わせたもの」です。

一般的な構成はこんなイメージです。

  • バッテリー(リチウムイオン電池/LiFePO4電池など)
  • BMS(バッテリーマネジメントシステム)
  • インバーター(DC→AC 100V 変換)
  • DC出力(12V端子、USB端子など)
  • 充電回路(ACアダプター、ソーラーチャージャーなど)
  • 各種保護回路・ヒューズ・配線・筐体

市販のポータブル電源は、これらが1つの箱にまとめて入っている完成品です。

自作ポータブル電源とは、この構成を自分で組み立てる/一部を自分で設計する、というイメージになります。

ポータブル電源が活躍するシーン

ポータブル電源 とは、どんな場面で使われるのでしょうか。代表的な用途は以下のとおりです。

  • キャンプ・アウトドア
    電気毛布・LEDランタン・ポータブル冷蔵庫・スマホ充電など
  • 車中泊・バンライフ
    冷蔵庫・サーキュレーター・PC・照明・小型家電
  • 防災・停電対策
    スマホ・通信機器・照明・小型の電気ポットやラジオなど

つまり、自作ポータブル電源を考える前に押さえておきたいのは、

自分はどんなシーンで、どのくらいの電力(W)を、どのくらいの時間(h)使いたいのか

という点です。ここが決まると、必要な容量や構成が具体的に見えてきます。

ポータブル電源の自作はできる?自作ポータブル電源が向いている人・向いていない人

「ポータブル電源は自作できる?」という問いの答えは、理論上は「はい」です。

実際に、自作ポータブル電源を作ってキャンプなどで使っている人もいます。

ただし、誰にでもおすすめできるわけではなく、向いている人と向いていない人がはっきり分かれます。

自作ポータブル電源が向いている人

  • 電気工作・DIYに慣れていて、テスターや配線作業が苦にならない
  • 12Vシステムやサブバッテリーを触った経験がある
  • 失敗しても自己責任として受け止められる
  • 既製品のポータブル電源では端子構成・容量・形状などが合わず、「どうしても自作したい」明確な理由がある

自作ポータブル電源をおすすめしにくい人

  • 電気の基礎知識がほとんどなく、プラス/マイナスや電圧・電流の違いがあいまい
  • 工具や圧着端子の扱いに自信がない
  • 防災用や医療機器のバックアップなど、「絶対にトラブルが許されない用途」で使いたい
  • 保証やアフターサポートを重視したい

こうした場合は、自作ポータブル電源よりも、市販ポータブル電源やサブバッテリーシステムを選ぶ方が現実的です。

ポータブル電源の自作に必要なもの

ここからは、ポータブル電源の自作に必要なものを整理していきます。

自作ポータブル電源の部品をすべて詳細に解説することはできませんが、「どんなパーツが必要で、それぞれ何をしているのか」を把握しておくことは大切です。

自作ポータブル電源のバッテリー選び(鉛・リチウム・LiFePO4)

まず、ポータブル電源 自作で中心となるのがバッテリーです。

大きく分けると、次のような種類があります。

種類 特徴 メリット デメリット
鉛蓄電池 昔からある車用バッテリーなど 安価・入手しやすい 重い・寿命が短い・深放電に弱い
一般的なリチウムイオン 18650セルなど 軽量・エネルギー密度が高い 熱暴走リスク・セル管理がシビア
LiFePO4(リン酸鉄リチウム) キャンプ・車中泊で人気 長寿命・安全性に配慮・サイクル数が多い 初期コストがやや高い

自作ポータブル電源では、鉛蓄電池で組む人もいれば、LiFePO4バッテリーを使う人もいます。

最近は大容量のLiFePO4バッテリーが手に入りやすくなっており、

「セルパックから自作するのではなく、完成品のLiFePO4バッテリーを“心臓部”として使う」

というスタイルが、現実的で安全寄りな選択肢になりつつあります。

BMSと保護回路で自作ポータブル電源の安全性を確保する

リチウム系バッテリーを使う自作ポータブル電源では、BMS(バッテリーマネジメントシステム)が必須です。

  • 過充電・過放電の防止
  • 過電流・短絡(ショート)の保護
  • セルバランスの調整
  • 温度異常の検知・遮断

など、「バッテリーが安全に働ける範囲を超えないよう見張る」のがBMSの役割です。

BMSなしでリチウム電池を扱うのは非常に危険で、

自作ポータブル電源の安全性の観点からも、BMSの有無は絶対に妥協してはいけないポイントです。

完成品のLiFePO4バッテリーには、あらかじめBMSが内蔵されているものも多く、セルレベルの設計を自分で行わなくてよいぶん、安全面で有利になります。

インバーター・DC出力・充電器など自作ポータブル電源の周辺パーツ

バッテリーの次は、「どうやって電気を取り出し、どうやって充電するか」です。

インバーター(AC100V出力)

  • DC(直流、例:12V)をAC100Vに変換する機器
  • 定格出力(W)とサージ出力、波形(正弦波/矩形波)などの仕様がある
  • 家電を使いたい場合は、インバーターの品質・保護機能も重要

DC出力

  • シガーソケット(DC12V)
  • USB-A/USB-C出力
  • DCプラグ端子など

キャンプ用途では、DC出力だけで足りることも多く、「AC100Vは必要最小限にとどめる」という設計も、自作ポータブル電源の安全性向上には有効です。

充電器・充電回路

ポータブル電源の自作では、「どの方法で、どのくらいの電流で充電するか」も重要です。

バッテリーの推奨充電条件に合わない過充電は、寿命を縮めるだけでなく危険にもつながります。

ヒューズ・配線・ケース選びなど、自作ポータブル電源の細かい部品

忘れがちですが、自作ポータブル電源では「細かい部品」も安全性を左右します。

  • 各系統に適切な容量のヒューズ・ブレーカーを入れる
  • 許容電流に余裕を持った配線ケーブル・端子を使う
  • 配線をしっかり固定し、擦れや被覆の傷を防ぐ
  • 放熱・通気性を考慮したケースを選ぶ

こうした部分は、市販のポータブル電源やサブバッテリーシステムでは設計済みですが、

自作ポータブル電源ではすべて自分で判断しなければならない点が難しさでもあり、危険性にもつながるポイントです。

自作ポータブル電源のメリット・デメリット|費用とコスパのリアル

ここでは、自作ポータブル電源のメリット・デメリットと費用感をコンパクトに整理します。

自作ポータブル電源のメリット

  • 容量・電圧・端子構成を自由に決められる
    キャンプ用・車中泊用など、用途にぴったり合わせやすい。
  • 後からバッテリーやインバーターを交換・拡張しやすい
    使いながら少しずつアップグレードしたい人向き。
  • 作る過程そのものを楽しめる
    電気工作・DIYが好きな人にとっては大きなやりがいになる。

自作ポータブル電源のデメリット

  • 設計・パーツ選定・配線・テストにかなりの時間と手間がかかる
  • 保証がなく、故障やトラブルはすべて自己責任
  • 安全性・信頼性の確保が、自分の知識と経験に強く依存する
  • 見た目やサイズをコンパクトにまとめるのが意外と難しい

自作ポータブル電源の費用感とコスパ

「自作ポータブル電源の費用」は構成によって大きく変わりますが、ざっくりとした考え方は以下のとおりです。

  • バッテリー(特にLiFePO4)がコストの大部分を占める
  • 品質の良いインバーター・充電器・安全部品を選ぶと、それなりの価格になる
  • ケースや工具、テスト機器なども含めると、同容量の市販ポータブル電源と同等、場合によっては高くつくこともある

つまり、「必ず自作の方が安い」とは言い切れず、コスパは条件次第というのが現実です。

自作ポータブル電源の危険性と安全性

「自作ポータブル電源は危険?」といったキーワードで検索すると、火災や発煙、事故リスクに関する情報が多いのに気づくと思います。

ここでは、自作ポータブル電源の危険性と、安全性を高めるための考え方をまとめます。

自作ポータブル電源で起こりうるトラブル・火災リスク

自作ポータブル電源で想定される主なトラブルは、例えば次のようなものです。

  • 配線のショート(短絡)による発熱・発火
  • 不適切なヒューズ容量や無ヒューズでの運用
  • 過充電・過放電を繰り返すことで、バッテリーが劣化・膨張・発煙
  • 放熱・通気が不足したケース内での温度上昇
  • AC100V周りの不適切な絶縁・漏電

こうしたトラブルは市販品でも起こりうるものですが、

設計・検証・安全試験をメーカーが行っている市販ポータブル電源と比べると、自作ポータブル電源はどうしてもリスクが高くなりやすいというのが現実です。

安全性を高めるために最低限押さえたいポイント

自作ポータブル電源の安全性を少しでも高めるために、最低限意識したいポイントは次のとおりです。

  • バッテリーは信頼できるメーカーのものを選ぶ
  • リチウム系バッテリーには必ずBMSを組み合わせる(内蔵タイプでもよい)
  • 各系統に適切な容量のヒューズ・ブレーカーを入れる
  • 許容電流に余裕を持ったケーブル・端子を使う
  • 配線をしっかり固定し、擦れや被覆の傷を防ぐ
  • 密閉しすぎず、放熱や通気を確保する
  • 使用前・使用中に異常な発熱・匂い・音がないか確認する

それでもなお、自作ポータブル電源の安全性は、市販製品の検証レベルには及びません。

そのため、用途や使い方によっては、無理に自作を選ばないという判断も大切です。

販売・譲渡を考えるなら要注意な電気用品安全法(PSE)と法規制

自分用の自作ポータブル電源を楽しむのと違い、

  • 自作品を販売する
  • 他人に譲渡して使ってもらう

といった場合には、電気用品安全法(PSE)などの法規制が関わってくる可能性があります。

  • 家電やAC100Vを扱う機器は、種類によって規制対象になる
  • 事業として販売する場合、PSEマークや安全基準への適合が求められる
  • 事故が起きた場合の責任範囲も、個人使用とはまったく違う重さになる

「売るつもりはなくても、他人に使わせるなら法的責任が発生する可能性がある」という点は、頭に入れておくべきポイントです。

自作ポータブル電源より現実的?「サブバッテリーシステム」という選択肢

ここまで読むと、

「ポータブル電源の自作って、思ったよりハードル高くない…?」

と感じた人も多いはずです。

そんなときに検討したいのが、サブバッテリーシステムという選択肢です。

自作ポータブル電源とサブバッテリーシステムの違い

自作ポータブル電源とサブバッテリーシステムの関係を、わかりやすくまとめるとこんな感じです。

方式 イメージ 中身 特徴
自作ポータブル電源 1台の箱に全部詰め込む バッテリーセル+BMS+インバーター+充電回路など 設計自由度高いが、安全設計も自己責任
サブバッテリーシステム 複数の機器を組み合わせる 大容量バッテリー+既製インバーター+充電器など 構成は自作だが、各機器は完成品
市販ポータブル電源 完成済みの1台を購入 バッテリー・BMS・インバーター一体型 手軽・保証あり・カスタム性は低め

自作ポータブル電源は、「メーカーがやっていることを、自分一人でミニチュア版で再現する」イメージに近いです。

それに対してサブバッテリーシステムは、

完成品の大容量バッテリーやインバーター・充電器を、システムとして組む

という考え方なので、設計の自由度は残しつつも、バッテリーや制御の中身を自分で設計しなくてよいというメリットがあります。

サブバッテリーシステムの構成(大容量バッテリー+充電器+インバーター)

典型的なサブバッテリーシステムの構成は次のとおりです。

  • 大容量バッテリー(多くはLiFePO4バッテリー)
  • 走行充電器・AC充電器(たとえLiFePO4専用充電器
  • 必要に応じてソーラーチャージコントローラー
  • インバーター(AC100Vが必要な場合)
  • 各種ヒューズ・ブレーカー・配線

これらは、それぞれが単体製品として設計・検証されているため、

  • バッテリーのBMS機能はメーカー側で実装済み
  • インバーターや充電器も、安全基準や仕様に基づいて作られている

という安心感があります。

自作ポータブル電源よりサブバッテリーシステムが安全寄りになりやすい理由

もちろん、サブバッテリーシステムも電気工作である以上、配線やヒューズ選定、取り付け方法には十分な注意が必要です。

それでも、自作ポータブル電源と比べると、

① セルパックからバッテリーを自作しない(→ バッテリー内部設計の失敗リスクを減らせる)

② 各機器が独立しているので、熱や異常を視覚的・触覚的に確認しやすい

③ すべてを狭い箱に押し込まず、レイアウトと放熱の余裕を確保しやすい

といった点から、現実的で安全寄りな“自作の落としどころ”として考えられます。

自作ポータブル電源より安全寄りな選択肢としてイメージしやすいように、キャンプや車中泊で使いやすい大容量サブバッテリーシステムの具体例もご紹介しておきます。

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LiTimeのバッテリーは、車載グレードのLiFePO4セルと自社開発BMSによる多重保護設計で、高い安全性と信頼性を両立しているのが特長です。最大4,000回以上の充放電サイクルに対応する長寿命バッテリーとして、自作ポータブル電源の代わりに選ぶユーザーも増えています。

キャンプ・車中泊・防災で考える自作ポータブル電源 vs サブバッテリーシステム

ここからは、具体的なシーン別に、自作ポータブル電源とサブバッテリーシステムの向き不向きをざっくり見ていきます。

キャンプ・冬キャンプでの自作ポータブル電源とサブバッテリーシステム

キャンプ、とくに冬キャンプでは、

  • 電気毛布・電気カーペット
  • LED照明
  • スマホ・カメラ充電
  • 小型冷蔵庫(夏場)

など、比較的長時間の電力使用が発生します。

この用途で自作ポータブル電源を選ぶ場合、

  • 容量設計を間違えると、夜中に電気が尽きる
  • 安全設計を甘くすると、テント内での発熱・トラブルがより怖い

といったリスクを踏まえる必要があります。

一方、大容量サブバッテリーシステムであれば、

  • 使用時間をある程度見積もりやすい
  • 電気毛布などを安定して動かしやすい
  • 万が一トラブルが起きても、構成がシンプルで原因を追いやすい

というメリットがあります。

車中泊・バンライフでの自作ポータブル電源と大容量バッテリーの使い分け

車中泊では、

  • 冷蔵庫・換気ファン・照明・スマホ・PC
  • 場合によっては小型ヒーターや電気毛布

と、24時間に渡って電力を使うこともあります。

この場合、「どこに・どう固定するか」「走行充電との連携」も含めて考える必要があるため、

箱型の自作ポータブル電源よりも、

車内レイアウトに合わせて、大容量バッテリー+インバーター+充電器を組み込むサブバッテリーシステム

の方が相性が良いことも多いです。

防災・停電対策として、自作ポータブル電源 vs サブバッテリーシステム

防災・停電対策の観点では、

  • 信頼性:いざというときに確実に動くか
  • 使いやすさ:家族全員が迷わず使えるか
  • 保守性:長期間保管後も問題なく起動できるか

といった要素が、キャンプや車中泊以上に重要になります。

この用途では、セルパックレベルからの自作ポータブル電源よりも、

  • 市販ポータブル電源
  • 大容量バッテリーを中心に組んだシンプルなサブバッテリーシステム

のいずれかを選んだ方が、トータルでは安全性・安心感に優れることがほとんどです。

まとめ|ポータブル電源の自作を始める前にチェックしたいポイント

ポータブル電源の自作には、容量や端子構成を自分好みにできる自由度や、作ること自体の楽しさといった魅力がある一方で、安全設計や部品選び・配線にそれなりの知識と手間が必要で、「安くてお得な裏ワザ」というほど単純なものではありません。

そのうえで、自分は DIY や電気の勉強も含めて楽しみたいのか、それともキャンプ・車中泊・防災で「しっかり使える電源」が欲しいのかを一度整理してみるとよいでしょう。

前者なら小さな構成から少しずつ自作に挑戦、後者なら市販のポータブル電源や大容量バッテリーを使ったサブバッテリーシステムも候補に入れ、自分のスタイル・スキル・予算に合った電源の持ち方を選ぶのがおすすめです。

FUMary
FUMaryさんは、製品についてしっかりと理解し、その魅力をやさしく丁寧に伝えるプロのライターです。特にLiFePO4(リン酸鉄リチウム)バッテリーに詳しく、専門的な内容もわかりやすい言葉で紹介してくれます。読者の目線に立った文章づくりを大切にしており、「知りたいことがちゃんと伝わる」と評判です。